森の東アルプス ~秩父山塊~続き。

2013年9月

以下の記事は当時のFB投稿をコピーしました。

森の東アルプス ~秩父山塊~ - the longer the higher

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6:00 避難小屋出発
9:20 将監峠
11:00 笠取山
12:25 古礼山
13:20 雁坂小屋
13:40 雁坂峠
15:00 道の駅みとみ
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外の風は昨日より強さを増している感じがした。避難小屋を6時前に出る。
足元は滑りやすく、トレイルは笹に覆われ足を置く場所が見えない。こういうところは歩く。笹に着いた水のせいで靴の中はびしょびしょだ。しばらくは歩くことを余儀なくされる。
飛龍山付近に着くが、山頂はルートから外れる。天気もまだ晴れていないし、景色は見えないだろうと思いパスする。先を急ごうとすると禿岩の標識。標識通りに進むと山々を見下ろせるポイントではないか。そのスケールに圧倒され、これが俗称でも東"アルプス"と呼ばれる理由でもあるんだなと実感した瞬間だった。この先もワクワクする。

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将監峠を越え、唐松尾山、笠取山と進むが笠取山を降りたところで、食料がアルファ米一袋となってしまった。もう朝出たときからわかってはいたけれど、食料が尽きるのは早い。うまくマネジメントができていないというのもあるが、食わなければ先へ進むパワーも得られない。『体の脂肪をうまく燃やせていない。』八ヶ岳を走った後にずっと思っていたが、食べるのを我慢しても仕方がない。この状況でも前へ進む。もう少し行ってから考える。

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雁坂小屋に着く。水を補充し、どうするか考えていた。辺りはガスに覆われ、まだ13時過ぎだというのに気温も低い感じがした。止まっていると汗で体が冷えてしまう。
このまま先へ進み、有人の小屋についても今日中の食料を賄うことしかできないだろう。明日もう1日分の食料は絶対だ。
最悪の場合、前回の大峰同様ここで終わりかとも思っていた。しかし、雁坂峠付近に道の駅があることを思い出し、地図で確認する。
「あった!」
今の時間なら下山しても十分、営業時間には間に合うはずだ。雁坂峠をあとにし下山を急ぐ。

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下山するなり、そらを見ると晴れ間が見える。山の上で見たかった。食堂へ駈けこみカレーを注文、待っている間に明日の食料も確保し食事にありつく。あたたかい飯は本当にうまい。心も満たされる。お代わりを注文すると余っていた飯をこれでもかというくらい頂いた。運が良い。明日の食料にもなる。
道の駅で野宿し、最終日の山旅をむかえることにした。

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続く。

森の東アルプス ~秩父山塊~

2013年9月

※以下の記事は当時のFBの投稿からコピーしました。

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奥多摩駅 13:00
登山道入り口 13:30
七つ石山 16:30
雲取山避難小屋 17:30
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六甲、ダイトレ、鈴鹿...4日間の休みがある中でどの山に登ろうか。どれもピンとこない。本当に登りたい山はどこだろうかと記憶をたどる。

「東のアルプス!」

奥多摩駅から清里へと抜ける道を一度は思い描いていた。思い出した瞬間に鳥肌が立ち、、体が熱くなった。間違いなく今一番行きたい山々だ。東は雲取山から、甲武信ヶ岳金峰山、ミズガキ山と主峰が続く。

25日、始発の電車を考えていたが台風と寝不足だったため様子を見ることにした。結局、昼前に実家を出発し奥多摩駅へと向かう。
この地を踏むのは4度目くらいだったろうか。雲取山へは3回トライした覚えがある。そのうち登頂したのは1度だけで、残りは荒天と体調不良で引き返している。
登山道入り口の標識が懐かしい。そして通ったことのあるこの道が過去の記憶を掘り出す。雨は降ってはいない。人気も全く感じられず、がつがつ登る。何せ出て来た時間が遅い。暗くなる前には寝床に着きたい。
真っ白な雲に包まれ、視界は閉ざされている。自分でも天気が悪い日を選んで来ているのは承知だが、この山を登るときは天気が良かった日がない。
「これじゃ、雲取れない山じゃないか。」なんてぼやいていると段々と雲に隙間ができ、山頂手前で絶妙な夕焼けを目にする。それまでのこの山のイメージを一蹴してしまう極上の景色。山の色を明るく染める。

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夕焼けを堪能したところで、もう一息歩くともう山頂に着いてしまった。入口から4時間で来れるなんて思っていなかった。小屋に着くなり辺りは暗くなっていき風が吹き始める。小屋にはフランス人の登山者がいた。日本でのインターンシップを終え、次のインターンまでギャップがあるため山を登りに来たという。会話を楽しんだのち、メシを済ませ、この日はすぐに寝てしまった。明日、明後日の2日でアルプスを攻略しなければならない。できるのかどうかという不安は全くなかった。

続く。

TGIFの続き。

前回のエントリはこちら。

TGIF (Tochigi Gumma It's Fukushima) - あの山々を繋げたら

12日朝。水上駅前から湯の小屋温泉行の始発のバスで湯の小屋温泉へと向かう。

バスから下りて身支度を整えようやくスタートだ。まず目指すは至仏山

トレイルインして少し行くと一般道に出て、林道を行く。林道の終点に辿り着くと再びトレイルなのだが、このトレイルが以外と気持ちが良かった。

一つ目のピーク、笠ヶ岳を越えると子至仏山至仏山が見える。

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至仏山へ行くには ルートから1度外れ、再び戻ってくることになる。

しかし、滅多に来ることもないだろうし、こちらも一足伸ばせばという距離なので迷わず登る。

百名山とあって人が多かった。登山道もしっかりと整備されており、ここから見渡せる尾瀬の景色と尾瀬を守っているかのような、重鎮、燧ケ岳の優美な姿はまた格別だ。山頂に留まることなく先を行く。

1日目の記憶はただひたすらどこまで行けるかということしか考えてなかったので余り覚えてない。(もちろん目的地の目星は付けていた。)

至仏山を登り終えると燧ケ岳の存在が離れることがなかったことだけはハッキリ覚えている。

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鳩待峠、富士見小屋、そして尾瀬沼。着いたのは17時くらいだったろうか。

夏の日没にはまだ時間がある。桧枝岐村までとりあえず行けると判断し、更に進む。

途中、腹痛と闘い、事なき得ると一般道まで下りてきた。

携帯の電波も入ったので地図上にある温泉の営業時間を調べてみるとなんと間に合うではないか!

これは予想外ではあったが、汗で体が冷えていたので好都合だ。

なんとか桧枝岐村、燧の湯に辿り着き、僕の汚い服装に番頭のおじさんの冷たい視線を感じながら入館。あったまると心身が回復したかに思えた。

が、風呂から上がると急に気持ち悪くなってしまった。恐らく脱水だった。

入浴前にしっかり水分もとらずいきなり熱い湯に入ってしまった。

閉館の時間にもなったので、とりあえず体を冷やさないよう保温しながら外へ出る。

会津駒の登山道までは遠くはない。とぼとぼ歩き、登山道へ着くがそのまま進むのは無理だった。夜間の行動覚悟で来ていたが気分がよくなるまで駐車場の端でエマージェンシーシートやツェルトに包まって横になった。

夏とはいえすぐ傍に流れる川からの冷気が肌寒さを感じさせた。体力回復の具合を診て再び出発。結局5時間くらい寝てた。

早朝3時過ぎに出発。会津駒ケ岳までの道は風と影の影響で少し寒かったが、朝焼け見える緩やかな稜線はこれもまた綺麗で穏やかだった。

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残雪はあったが、スパイクやアイゼンがなくても大丈夫な程度。

福島の山は安達太良、磐梯山以来だから3年ぶりか。今日の山行の無事を願い会津駒を後にする。

次なる山は前日脇を素通りしてきたお待ちかねの燧ケ岳だ。

目的地へ急ぐばかりで気疲れしても困るのでひとりだけどこんなことまでして遊ぶ。

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もちろん冷たい。この格好で5秒も寝転ぶのは罰ゲーム他ならない(笑)

尾瀬御池まではなだらかな道で気持ちよかった。

御池の小屋で食料と水を補給し、歩みを進める。この部分が一番ハードだったろうか。

急登を抜け、振り返るとこのように自分がさっきまでいた場所を一望できる。

ストックなど持ってなかったが指とつま先をさしながらザクザク進んだ。

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燧ケ岳は今回、絶対登りたかった山なので、どうやってルートをとろうか悩んだ。

至仏山へ登ったらそのまま北へ行って燧ケ岳へ繋げたかったが、植生保護のためそのルートはとれない。尾瀬沼から直接行こうにも時間帯が夜になってしまう。ここは明るい時間に上りたい。他にも検討したが、登山道の崩壊等の問題でこのルートになったのだが、結果的に良かったとは思う。

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大渋滞発生中の爼嵓からの柴安嵓。

土日ということもあり、至仏山同様、アクセスも良い大人気の燧ケ岳は人であふれかえっていた。

柴安嵓へは行かず、再び尾瀬沼へ下りていく。登山客にはやはりこのスタイルで登ることは好奇の目で見られる。今日はここからここまで行くんですよ。と言うと、頑張って「陽希さん!」(グレイトトラバースの。)なんて冗談交じりに言われることもしばしば。

尾瀬沼のヒュッテで再度、食料、水を補給しながら地図で行程を確かめる。

ここで残念な事実に直面してしまう。どう頑張っても時間内に日光までたどり着けない。気分悪くしてからも、その辺の時間の調整はして出発したはずなのだがどうしても無理なのだ。

後で終わってから気づくのだが、地図上とは別に計算し紙に書いた山行時間を見返すと、単純に計算違いをしていた...

旅は突然に幕を閉じてしまった。TGIF完遂ならず。

最後は大清水の先のバス停まで走りバスに乗って沼田駅まで戻り帰路に就いた。

 

TGIF未完。

TGIF (Tochigi Gumma It's Fukushima)

2015/07/12,13

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あのルートを繋げられたら...

また今年トライした比較的長いと思われる山行(世の中には日本アルプスを海から海まで縦断することもありますからね)の備忘録。

とにかく長いルート、即ち長い時間山にいることが、好きな自分なのだが関西にいたときは、だいたい一つの地図で全てが収まっていた。

(Ex.比良山脈、大峰山脈鈴鹿山脈、六甲山系 etc.)

結局どれも一発で起点から終点まで行ったことはなかったが、どうやら関西でこの長く山にいることの旨味を知ってしまったようだ。

長くいるというよりも長いルートを軽快なペースで駆け、色々な食材の旨味が凝縮されたスープのように、ギュッ!と短い時間で色々な景色、変化を楽しむことに魅力を感じた。

ただ、それには多少なりともリスクがあり自分の経験、判断が頼りとなる。

何を持っていくか、水はどこで補給するか、枯れてたらどうするか、エスケープは...とこの考える、計画、準備することも楽しさのうちに入っているし、思い描いたルートを完遂できるかどうかはこの山行を始める前の準備、今までの経験が半分くらいは鍵を握っていると言ってもいい。

 

話を元に戻すと、昨年、埼玉の実家へ戻る際に日光の山を登ろうと思い地図を手にし、ルートを目で追っていく。すると白根山から北は尾瀬へとつながっているではないか!

と知っている人にとっては当然のことだろうと思うのだが、まだ関西にいた頃の自分には衝撃的で2000m級の山を繋げられるのは『興奮』の一言でしかなかった。

日光と尾瀬の2枚の地図を壁に張ってひとりワクワク、にやにやしていた。

 

思い立ったが吉日、早速実家へ戻って決行するのだがこの時は計画と呼べるものはほぼなし。地図に書いてある参考タイムを全部足して、あとは自分の実際の進度と相談してと(今もさほど変わりはないのだがw)今よりはるかにずさんだった。

行ってしまえばどうにかなるだろうという気が強かった。

 

結局、東武日光駅から女峰山、男体山を登って終了してしまった。当初の予定では中禅寺湖から湯元温泉へ向かい、日光白根を登って北へ尾瀬へ...記録も記憶すらも残っていない。どこで寝ることだったのやら、どうやって帰るつもりだったのやら。

登山者としてはあるまじき行為、いや、登山者と呼ぶにはおこがましいほどに自分の体力だけに自信を持っていた馬鹿者であった。

 

そして、今年の7月。1年越しで狙っていたルートを駆ける時が来たのだ。

3月から足の故障で思うように走れない中、1週前のレースでもリタイアしていたのだが、1週間後のレースを見据え自分の体を診るということも含め決行に移る。

 

昨年と違い、スタートは水上からバスで湯の小屋温泉まで向かい至仏山、一度戻って鳩待峠、尾瀬沼を北へ抜け、桧枝岐村へと向かう。一度、一般道へと出てしまうが会津駒ケ岳を登り南下、燧ケ岳を通り再び尾瀬沼へ出てきたら東の鬼怒沼を目指し最後は日光白根山

とこれもまた滅茶苦茶なのだが、2日で濃厚なスープを味わいたかったわけだ。

ちなみに会津駒を新たに入れたのは届きそうな範囲であったし、山行の名前(そんなの要らんのだが)を考えてたらふとTGIF=Thanks God It's Friday、TGIF=Tochigi Gumma It's Fukushima!とひらめいてしまったので入らざるを得なくなったからだ(笑)

(尾瀬というと自分の中では群馬だった。福島の山も入れてTGIFだったので福島の山、会津駒を入れた。)

 

さあ前置きがかなり長くなったがどうなったことやら。

続く。

Shinetsu Five Mountain Peaks 続き。

Shinetsu Five Mountain Peaks - the longer the higher
  
高谷池周辺のちらほらと見られる紅葉に心踊らせつつも真っ暗にならないうちに妙高に取りつきたかった。
ヘッドライト、防寒着を装備し向かう。途中、反対方面からくる女性二人組と遭遇。
久しぶりに人に会えたー!と喜んでおられるご様子。ロープウェイを利用してのんびり妙高を楽しまれたようだ。
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そうこうしているうちに日は傾き、いよいよヘッドライトの出番が必要になってきた。
念のため水をまた補給しつつ、アルファ米にも水をいれる。
急な登りが続き、気付けばハンガーノック気味だった。焦る必要はなかった。
沈みゆく太陽がつくりだす夕日と闇のグラデーションを見ながらたっぷり食事を頂く。
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山頂に着いた。そして、満足感を得たのち来た道を下る。途中の笹ヶ峰分岐まではよかったが、ここからが長かった。
過去にも夜の行動があるとは言えど、ソロであるとどうしてもやる気が下がってしまう。
周りの景色なんぞなく、足下に注意をはらっていないと痛い目にあう。道がハッキリしているのは負担を和らげてくれたが、暗がりを一人は精神的にまいる。
傾斜が急で滑りやすい道は予定の時間を簡単にオーバーさせてくれた。
下りてきたら下りてきたでキャンプ場を抜ける道がわからない。ぐるぐるまわっていたらそれらしき方向にそれらしき道があったので、進んでみた。
すると、お馴染みの矢印看板が登場!信越五岳トレイルレースのものだ。レースはその翌々日。
ここから黒姫の登山口分岐までは道がレースのコースとかぶっている。
道を探すのに気を使わなくてもいいやと思ったのも束の間、乙見湖に出てきたらどっと疲れた。
きっとキャンプ場で人がいるのを見て安心感を得てしまったのだろう。
また眠気もまあま来ていたし、山から下りてきたのに寒かった。

乙見湖で小休憩したら暗闇を再度進んでいく。最低でも1時間は寝ようと思っていたところで、避難小屋に着いた。
入ると暖かく、誰もいない。ここで日が変わるくらいの時間だっただろうか。
地図を見返し、全行程は無理と判断。仮眠をとったら黒姫、下りて高妻へは向かわず戸隠で終わり。飯縄山も諦める。
そして眠りに落ちた...

起きたら空が薄く明るい。しまった!爆睡してしまった(笑)時計を見たらもう5時だ。
これではとても戸隠までは無理なので、黒姫山に登って帰ろう。
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悔しさもなくはなかったが、自分の能力、今回の状況にあった計画ではないことを受け入れ潔く切り替えた。
西登山口から登ったが大きめの岩の上を歩くような道だった。夜にあのまま突っ込んでいたら、心が折れていたことは容易に想像がつく。
しかし、いい雰囲気の道だったな。
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頂上に着くと黒姫を除く信越四岳(斑尾、妙高、戸隠、飯縄)を拝むことができた。
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一番楽しみにしていた戸隠山の切り立ったリッジは人を寄せ付けない雰囲気を漂わせている。
友との思い出の山、飯縄山はこの角度で見るのは初めてだったが、穏やかで懐の深さを感じる。
しばし、いろんなことを思いながら一人山頂での時間を楽しんだ。
そこからバスの時間に間に合うようにと下りて行ったわけだが、間に合わないと途中でわかった。
焦ったってまた仕方がないからと最後は予定もしていなかった爽快で走りやすいトレイルを楽しみ、黒姫駅に無事到着。
結局登れた山は頚城三山(焼山、火打、妙高)+黒姫で今回は終了。

信越五岳“未”完。

山行記録:参考地図 山と高原地図18 妙高・戸隠・雨飾

小谷温泉 8:10
雨飾山 10:30
金山 12:50
焼山 14:20
火打山 15:45
高谷池 16:50
妙高山(北峰) 18:30
夢見平避難小屋 23:00~0:00着 5:00過ぎ発
黒姫山 7:20
JR黒姫駅 ??? 

Shinetsu Five Mountain Peaks

2015/09/20,21

信越五岳(北信五岳)、この5つの山をご存じだろうか。

東から斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山飯縄山がそれにあたる。

信越五岳と言えば山を走る人は一発で想像するのはあの気持ちの良いなだらかな山の旅レースだろう。

今回は僕も初めてエントリーしていた。それにあわせて休みも4日間あったのでめったに来ることのない山域を「レース前だから」とか何とか言わずに楽しもうと思った。

それが上記5座の内4座を繋げることだ。斑尾山のピークはレースでも通るため、回避。

そこで代わりに目を付けたのが長野県小谷村にある雨飾山だ。そこを起点に焼山、火打、妙高、黒姫、高妻、戸隠、飯縄となんとまあこの山域のオールスターをよく並べたものだ。

計画段階でわかっていたがこれは少々無理がある。寝る時間は殆どなしに、1日ちょっと。
20日の朝8時くらいにスタートして翌21日はレースの受付があるので昼までには終わらせなくてはならない。だから行けるとこまでと割り切っていた。

 

19日に白馬村の簡易宿で前泊。翌朝、スタートの小谷温泉までは電車とバスで移動。

涼しい空気を感じながら、一つ目のピークは雨飾山
淡々と登っていたらすぐについてしまった。車でのアクセスの良さからか山頂は休憩する人でいっぱいだ。

ガスがかかった雨飾山を後にし、いよいよ焼山までの縦走ルートをすすむ。

破線ルートではあったが踏み後はしっかり残っている。と言うより、誰かが草を刈ってくれている。

このルートは体力勝負だ。起伏が激しさからか距離があると感じてしまうだろう。その上水場もない。
そんなことは構わず歩みを進め、いつの間にか金山に到着。

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この空虚感がまたいい。人気を感じず周りを囲むは自然のみ。

そして、さあ俺のところへ来いと言わんばかりの焼山の存在感。

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この写真は金山からだいぶ離れ、焼山に近づいているが近づかんともこの威圧感、そしてそこまで行く唯一のライン⁽トレイル⁾は”美しい”の一言だ。

登る、登る、登る。足元がガレてきたら頂上は近い。
活火山である焼山。その荒々しい岩が周囲の山とは一線を画す様相を織りなしている。

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これで終わりではない。核心部にはまだ触れてもいないのだ。

そう、信越五岳は妙高からである。しかし、その前にもう一山手強く、無視できない山が…

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火打山、2462mの標高は今回の行程一の高さを誇る。
しかし、自然のエネルギーというものはすごい。疲れを感じさせない。
綺麗な情景をこの眼で見たいが為に進むわけだが、

見れば見るほどに前へと進む活力を与えてくれ、また次はどんな光景が広がるのであろうかという好奇心までも駆り立ててくれる。

 

そして、火打山を越え高谷池へ。

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紅葉には少し早かったが、この色合いも絶妙。

ヒュッテでたっぷり飲み水を確保したら行くはいよいよ妙高山

 

続く。

 

越後三山

2015/10/18

山行記録(参考地図:山と高原地図15 越後三山)
JR浦佐駅 8:00
大倉登山口 9:00
薬師岳 11:07
五竜岳 12:30
御月山 14:40
中ノ岳 15:30
天狗平 16:40
駒ケ岳 17:10
大倉登山口 19:40
JR浦佐駅 20:30

今回は新潟の八海山、中ノ岳、越後駒ヶ岳、即ち越後三山を1日でまわってきた。
新潟のこの山域は初めてで自宅の埼玉から浦佐駅まで新幹線で移動。その時間なんと約2時間。
便利も行き過ぎるとなんか怖い…が、その便利さを利用させてもらわなければ今回の山行はできていない。
駅到着時、辺りは霧に包まれていた。コンビニで必要な食料を買い、大倉登山口へ向かうこと1時間。途中、霧も晴れ山がその姿を現す。
八海山坂本神社でお詣りを済ませ登る。4合目半までの道は起伏もそんなに激しくなく、木々の葉は赤、黄色に色づいていた。フカフカのトレイルだ。
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分岐にたどり着くとロープウェイを利用して上がってきた登山者と合流。ここから少し我慢が続く。
八海山は地図にある通り、鎖場や岩が多い。日曜と言うこともあり薬師岳から五竜岳あたりまでは渋滞が発生していた。
僕の風貌を見てトレイルランの人、走る人だと声に出す人も結構いた。あまりいい気分ではない。だって、こんなとこ走らない…
しかし、半袖短パンが動きやすくていい。防寒着はザックにある。
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何度か渋滞待ちを繰り返したのち、ようやく中ノ岳へと続くラインが見えてきた。
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ここから御月山までは地図上で破線となっている。痩せ尾根と急登が続く。
先ほどまでの人はおらず、中ノ岳までで会った人は一人。
楽しみにしていたワクワクゾーンを満喫!
と言いたいところだったが、八海山を上がったところですでに持ち合わせの水が残り200mlがいいところ。
補給を予定していた水場では水が汚くそのままいったら腹を壊すと判断しパス。
次の水場に望みをかけ、脱水覚悟で進んでいた。案の定、口の中はカラカラ。
日差しが熱く、湿った空気が上がってくる谷側へ顔を向ける。
そして最終的には日陰でまだ熊笹の上に残っていた朝露を舐めながらすすんだ(笑)
ちなみにこれくらいは過去に経験済みだ。これ以上は本当にマズいと毎回思っている。
そうして、歩みを止めないように且つ予定の時間には大幅には遅れないようなペースを保ち念願の水場に到着。
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ここの水も決して安全とは言えないだろうが、もうおかまいなし。通ってきた道も紅葉の美しさもしっかり記憶に残っている。
ここですでに15時。最後のピーク、駒ケ岳へ日没前に辿り着ければ後は暗闇でも下るだけなので大丈夫だ。
中ノ岳のピークを踏み、ガスがかかったり晴れたりする道を楽しみながら駒ケ岳へ到着。
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駒ケ岳からの下山は傾斜が急でライトを持っているとはいえ足元には不安が付きまとう。
脚を止めれば無音か風、沢の音しか聞こえず自分は大自然の中にいる小さな小さな存在だと思い知らされる。
この感じは時に怖さも感じるが好きな感覚だ。
さすがにこの時間では人がいないだろうと思っていたらシングルトラックのど真ん中に緑のツェルトが張られている。
疲労がたまってきていたので「えっ?!」と言葉を発したのち、理解するのに2秒くらいかかった。人が寝てる。
「大丈夫ですよね?何もないですよね?」と声をかけたら「はーい。」と普通に声が返ってきたので安心した。
美しい夕日が漆黒の闇に変わる光景を目に焼き付け帰路に就いた。

越後三山、完。