春の奥秩父縦走路

2016年5月14日から15日(予備日16日)の2日間で奥秩父縦走路へお出かけしてきました。その記録と旅の途中、旅を終えて思ったことなどを幾記事かに分け書こうと思います。まずは長いですが今回の旅の経緯です。

秩父縦走路(奥秩父山塊、奥秩父連峰)とは?

僕自身がいつも説明する際は「東京の多摩から山梨の清里まで山が連なっていて、その東西に延びる一筋の山道が奥秩父縦走路」といった感じで説明してますが、こちらの方でもう少しく詳しく説明されています。今回の旅のきっかけとなった著書が最後に紹介されていますのでさっと目を通していただければと思います。

奥秩父連峰 - 関東の主要山域 - ヤマケイオンライン / 山と溪谷社

また南北アルプス縦走レース(TJAR)を主催する団体がこのルートを使ってレースを毎年開催しているようです。

分水嶺トレイル

他にも検索すれば僕のようにトレイルランに傾倒した方々がこの縦走路を楽しまれているようだということがわかります。僕もそのうちの一人です。

 

3年前の宿題

実はこの縦走路を通しで行くのは2回目でした。3年前の9月に3日間の時間を費やし挑戦しましたが、計画不足により中途半端に終わりました。その無念を晴らす為でもありましたが再度、奥秩父へ脚を運んだ主な理由は他にありました。

(3年前に挑戦した時の記録はこちらから)

森の東アルプス ~秩父山塊~ - the longer the higher

森の東アルプス ~秩父山塊~続き。 - the longer the higher

森の東アルプス ~秩父山塊~続きの続き。 - the longer the higher

 

『山の憶ひ出』(木暮理太郎著)
先ほど奥秩父の説明のため、引用した記事の最後にあるこの書籍。

山に入り始めた頃はそうでもなかったですが、色々な山へ行くにつれ、山の世界の歴史にも興味が湧いてきました。図書館でふと目についた、分厚い文庫本。気になって読んでみると、群馬出身である著者が奥秩父への情熱を注いだ記録がつらつらと書かれていたのです。
秩父は今いる実家の春日部から遠い場所で地元とは決して言い難いですが、埼玉県出身の僕としては秩父をホームとして仲間を案内してみたい。しかし、案内するほど実は通ったこともなくほとんど何も知らなかったのです。
そして、読み始めて間もなくどうしても頭の中に残る文章が、今回の旅のきっかけとなったのです。

命名、ーTSUNATORI (綱取り)ー

...秩父山脈と日光火山群とは、互に馬蹄形の一端に位置して、頗る趣が似通っているのみならず、南北アルプス地方を除けば、何処へ出しても後れを取らない所は、正に関東の“両大関”と云うてよかろう。」(『山の億い出 上』木暮理太郎 著)

秩父山脈と日光火山群とは、...正に関東の“両大関... 

この大関という例えがどうしても頭から離れなかったのです。そして僕の頭の中で..

北アルプス横綱

秩父山脈、日光火山群=大関

「これは...自分が横綱に昇進する(もっと強くなる)には大関を倒してから横綱(綱取り)に挑まないといけない…」と小学4年生くらいの発想が今回の旅のスタートでした。

秩父縦走は3年前にトライしたと言いましたが、実は日光へも何度か足を運んでいて、日光火山群を含めたロングトレイルに昨年挑戦していました。⁽日光へは届きませんでしたが。⁾

TGIF (Tochigi Gumma It's Fukushima) - the longer the higher

TGIFの続き。 - the longer the higher

 

その両山脈の重厚さ、奥深さを一度肌で感じていること、自分の発想と登山の先駆者である木暮理太郎氏の発想が重なったことで一気に火がつきました。

とてもくだらない話ではありますが両大関を今年中に倒す!と同時に南北アルプスにはない魅力を仲間へ広められたらという想いで今シーズンは走るのです。

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次回からいよいよ本題(奥秩父縦走記)へ入ります。

こちら。

-TSUNATORI(綱取り)- 森ノ山 奥秩父部屋 (雲取山まで) - the longer the higher

-TSUNATORI(綱取り)- 森ノ山 奥秩父部屋 (はっけよぉい!雁峠まで) - the longer the higher

森の東アルプス ~秩父山塊~続きの続き。

2013年9月

以下の記事は当時のFB投稿をコピーしました。

森の東アルプス ~秩父山塊~ - the longer the higher

森の東アルプス ~秩父山塊~続き。 - the longer the higher

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5:10甲武信ヶ岳 徳ちゃん新道入口
7:50甲武信ヶ岳
11:00国師ヶ岳
11:35金峰山登山道入り口
12:50金峰山
14:10大日岩
15:00富士見平小屋
15:50瑞ガキ山
17:20小川山林道入口
18:00信州峠
19:10川上村スーパー ナナーズ着
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道の駅ではほとんど寝られず朝を迎えてしまった。外に出るとまだ星が見える。そして何よりも寒い。この程度ではまだ序の口だとは思うが凍てつく寒さだ。吐く息も白い。3日目の行程にはボクが行きたかった山全てが詰まっている。
甲武信ヶ岳という山名に魅かれ、金峰山の五丈石をこの眼で見たいと思い、小川山でクライミングをした時に見たミズガキ山を登ってやりたいとずっと思っていた。
いずれの山も単体としてボクには見れなかった。東アルプスの存在を知ってからは3つで1セットだと。
登山道入り口から登りが続く。10分も歩くともう夜が明け始め、体も熱くなってきた。もう防寒具は必要ない。待ち望んでいた青空も広がり、やる気がわいてくる。
途中で振り返ると富士山が見えた。高度を上げるたびに富士山も高く、でかく見えその日本一の山であるという絶対的な存在を感じさせる。
影場は寒い。足元を見ると霜柱が立っている。山の秋は街で言うともう冬だ。
約2時間半で登頂。眺望は最高で更に先へ進むエネルギーにもなる。

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ここからのトレイルが素晴らしかった。倒木は多いものの、ゆるい下り基調のトレイルが続く。2000m以上の高度で走っているんだという優越感がたまらない。足の回転も速くなる。長いトレイルを終え、国師ヶ岳へ到着。向かうは一番気になっていた金峰山だ。

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一度車道まで降りてからの登り。駐車場には結構な車がとまっていたので、人が多いことを予想していた。山はみんなのものだけど、山頂でガヤガヤうるさくされるのとか、メシを大人数で食べている光景はあまり見たくない。
この道も今まで同様、地図にある時間よりも早く着く。森林限界を超え山の稜線に出ると、むき出しの岩だらけだ。オレンジ色に染まり始めている葉とミドリの葉の色彩がとても綺麗だ。山頂へ向かうと、念願の五丈石が姿を現す。その異質で、神秘的な存在に圧倒され、いつもなら5分と留まらない山頂に20分くらい居てしまった。

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時間がせまってくる。残すはミズガキ山のみ。時間がないともわかっていながらも、何度も振り返ってその景色に見とれてしまった。本当にイイ山だ。
先を急ぎ、大日岩を通り過ぎ、富士見平小屋まで降りて来た。もう15時だ。ミズガキへの道を進もうとすると小屋の方が「これからですか。行くのに2時間、戻ってきて2時間で暗くなってしまいますよ。」と忠告をしてくれた。本当はそんなことを言わせてしまうような行為はしたくない。が、どうしてもいきたい。
ボクの中でも選択肢があり、15時30分までにこの小屋に着けなかったら諦めて温泉に入って、バスで駅まで向かい帰ろうと思っていた。実際は15:00に着いた。ここからぶっ飛ばして登って、来た道は戻らずに反対側の下山路をとり、そこから信濃川上駅まで走ることにしたのだ。真っ暗になる前に山から下りてしまえば何とかなる。
自分に細心の注意を払うように言い聞かせ、ミズガキ山への道を走り始める。もちろんトップギアで。一般の人が2時間かかる道を50分で登りきった。そしてミズガキ山からの眺望は最高のご褒美だ。岩の上で走ってきた方角を見つめる。
「ありがとう。東アルプス。」

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猛スピードでのぼったように、猛スピードで帰らないといけない。もう16時をまわる。暗くならないうちに人里へは降りれる。実際に降りたが、ここからが本当に自分でも呆れてしまうくらい大変だった。

小川山林道を抜け、信州峠手前の集落に着く。18時前だ。ここから信濃川上駅を目指す。地図を見る限り10kmあるかないかということは把握していた。しかし、駅を目指す前に大切なことがある。
『食料の補給』
まさかの二度目の食糧難。バッグにはクルミだけがたくさん残っている。10kmだけだったらと思い、山頂で他の米などは食べつくしてしまった。そして信州峠を超えるころに空腹は襲ってくる。あとは下りだと安心していたら間違えで、クルミをいくらほおばっても力が出ない。足を止めると体が冷えてしまう。集落の手前にあった自販機は買おうとしたコーラが売り切れで、パスしてしまった。なんて馬鹿だ。終電は20時35分。防寒具を着てゆっくり歩いてもいいがそれでは余計に長く感じてしまう。空腹で手もなんとなく震えてくる。寒さが原因じゃない。空を見上げると満点の星空が見える。「最後にこんな綺麗な星も見られるなんて。」と笑ってみる。自分を落ち着かせるために。遠い。やたら遠く感じる。降りて行く道は畑が広がり、出荷の準備か何かをしている人もいた。でも助けは求めたくない。まだぶっ倒れないから大丈夫。「腹が減って動けないんです。」なんていったらどんな反応をされるのだろうか。
道路標識が見えてきた。とりあえず真っすぐ進み、駅にはダイレクトにいかないで、コンビニがある道を選んだつもりだった。が、あるはずのコンビニが見当たらない。「終わった。」右手にはなにやら明かりが見える。倉庫っぽくも見えたが、行ってみるとスーパーマーケットだった。
「助かったー!」と思わず声に出して言ってしまった。その後、食料を食い漁りタクシーを呼んで駅まで向かった。

馬鹿野郎の旅は終わりました。

森の東アルプス ~秩父山塊~続き。

2013年9月

以下の記事は当時のFB投稿をコピーしました。

森の東アルプス ~秩父山塊~ - the longer the higher

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6:00 避難小屋出発
9:20 将監峠
11:00 笠取山
12:25 古礼山
13:20 雁坂小屋
13:40 雁坂峠
15:00 道の駅みとみ
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外の風は昨日より強さを増している感じがした。避難小屋を6時前に出る。
足元は滑りやすく、トレイルは笹に覆われ足を置く場所が見えない。こういうところは歩く。笹に着いた水のせいで靴の中はびしょびしょだ。しばらくは歩くことを余儀なくされる。
飛龍山付近に着くが、山頂はルートから外れる。天気もまだ晴れていないし、景色は見えないだろうと思いパスする。先を急ごうとすると禿岩の標識。標識通りに進むと山々を見下ろせるポイントではないか。そのスケールに圧倒され、これが俗称でも東"アルプス"と呼ばれる理由でもあるんだなと実感した瞬間だった。この先もワクワクする。

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将監峠を越え、唐松尾山、笠取山と進むが笠取山を降りたところで、食料がアルファ米一袋となってしまった。もう朝出たときからわかってはいたけれど、食料が尽きるのは早い。うまくマネジメントができていないというのもあるが、食わなければ先へ進むパワーも得られない。『体の脂肪をうまく燃やせていない。』八ヶ岳を走った後にずっと思っていたが、食べるのを我慢しても仕方がない。この状況でも前へ進む。もう少し行ってから考える。

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雁坂小屋に着く。水を補充し、どうするか考えていた。辺りはガスに覆われ、まだ13時過ぎだというのに気温も低い感じがした。止まっていると汗で体が冷えてしまう。
このまま先へ進み、有人の小屋についても今日中の食料を賄うことしかできないだろう。明日もう1日分の食料は絶対だ。
最悪の場合、前回の大峰同様ここで終わりかとも思っていた。しかし、雁坂峠付近に道の駅があることを思い出し、地図で確認する。
「あった!」
今の時間なら下山しても十分、営業時間には間に合うはずだ。雁坂峠をあとにし下山を急ぐ。

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下山するなり、そらを見ると晴れ間が見える。山の上で見たかった。食堂へ駈けこみカレーを注文、待っている間に明日の食料も確保し食事にありつく。あたたかい飯は本当にうまい。心も満たされる。お代わりを注文すると余っていた飯をこれでもかというくらい頂いた。運が良い。明日の食料にもなる。
道の駅で野宿し、最終日の山旅をむかえることにした。

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続く。

森の東アルプス ~秩父山塊~

2013年9月

※以下の記事は当時のFBの投稿からコピーしました。

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奥多摩駅 13:00
登山道入り口 13:30
七つ石山 16:30
雲取山避難小屋 17:30
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六甲、ダイトレ、鈴鹿...4日間の休みがある中でどの山に登ろうか。どれもピンとこない。本当に登りたい山はどこだろうかと記憶をたどる。

「東のアルプス!」

奥多摩駅から清里へと抜ける道を一度は思い描いていた。思い出した瞬間に鳥肌が立ち、、体が熱くなった。間違いなく今一番行きたい山々だ。東は雲取山から、甲武信ヶ岳金峰山、ミズガキ山と主峰が続く。

25日、始発の電車を考えていたが台風と寝不足だったため様子を見ることにした。結局、昼前に実家を出発し奥多摩駅へと向かう。
この地を踏むのは4度目くらいだったろうか。雲取山へは3回トライした覚えがある。そのうち登頂したのは1度だけで、残りは荒天と体調不良で引き返している。
登山道入り口の標識が懐かしい。そして通ったことのあるこの道が過去の記憶を掘り出す。雨は降ってはいない。人気も全く感じられず、がつがつ登る。何せ出て来た時間が遅い。暗くなる前には寝床に着きたい。
真っ白な雲に包まれ、視界は閉ざされている。自分でも天気が悪い日を選んで来ているのは承知だが、この山を登るときは天気が良かった日がない。
「これじゃ、雲取れない山じゃないか。」なんてぼやいていると段々と雲に隙間ができ、山頂手前で絶妙な夕焼けを目にする。それまでのこの山のイメージを一蹴してしまう極上の景色。山の色を明るく染める。

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夕焼けを堪能したところで、もう一息歩くともう山頂に着いてしまった。入口から4時間で来れるなんて思っていなかった。小屋に着くなり辺りは暗くなっていき風が吹き始める。小屋にはフランス人の登山者がいた。日本でのインターンシップを終え、次のインターンまでギャップがあるため山を登りに来たという。会話を楽しんだのち、メシを済ませ、この日はすぐに寝てしまった。明日、明後日の2日でアルプスを攻略しなければならない。できるのかどうかという不安は全くなかった。

続く。

TGIFの続き。

前回のエントリはこちら。

TGIF (Tochigi Gumma It's Fukushima) - あの山々を繋げたら

12日朝。水上駅前から湯の小屋温泉行の始発のバスで湯の小屋温泉へと向かう。

バスから下りて身支度を整えようやくスタートだ。まず目指すは至仏山

トレイルインして少し行くと一般道に出て、林道を行く。林道の終点に辿り着くと再びトレイルなのだが、このトレイルが以外と気持ちが良かった。

一つ目のピーク、笠ヶ岳を越えると子至仏山至仏山が見える。

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至仏山へ行くには ルートから1度外れ、再び戻ってくることになる。

しかし、滅多に来ることもないだろうし、こちらも一足伸ばせばという距離なので迷わず登る。

百名山とあって人が多かった。登山道もしっかりと整備されており、ここから見渡せる尾瀬の景色と尾瀬を守っているかのような、重鎮、燧ケ岳の優美な姿はまた格別だ。山頂に留まることなく先を行く。

1日目の記憶はただひたすらどこまで行けるかということしか考えてなかったので余り覚えてない。(もちろん目的地の目星は付けていた。)

至仏山を登り終えると燧ケ岳の存在が離れることがなかったことだけはハッキリ覚えている。

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鳩待峠、富士見小屋、そして尾瀬沼。着いたのは17時くらいだったろうか。

夏の日没にはまだ時間がある。桧枝岐村までとりあえず行けると判断し、更に進む。

途中、腹痛と闘い、事なき得ると一般道まで下りてきた。

携帯の電波も入ったので地図上にある温泉の営業時間を調べてみるとなんと間に合うではないか!

これは予想外ではあったが、汗で体が冷えていたので好都合だ。

なんとか桧枝岐村、燧の湯に辿り着き、僕の汚い服装に番頭のおじさんの冷たい視線を感じながら入館。あったまると心身が回復したかに思えた。

が、風呂から上がると急に気持ち悪くなってしまった。恐らく脱水だった。

入浴前にしっかり水分もとらずいきなり熱い湯に入ってしまった。

閉館の時間にもなったので、とりあえず体を冷やさないよう保温しながら外へ出る。

会津駒の登山道までは遠くはない。とぼとぼ歩き、登山道へ着くがそのまま進むのは無理だった。夜間の行動覚悟で来ていたが気分がよくなるまで駐車場の端でエマージェンシーシートやツェルトに包まって横になった。

夏とはいえすぐ傍に流れる川からの冷気が肌寒さを感じさせた。体力回復の具合を診て再び出発。結局5時間くらい寝てた。

早朝3時過ぎに出発。会津駒ケ岳までの道は風と影の影響で少し寒かったが、朝焼け見える緩やかな稜線はこれもまた綺麗で穏やかだった。

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残雪はあったが、スパイクやアイゼンがなくても大丈夫な程度。

福島の山は安達太良、磐梯山以来だから3年ぶりか。今日の山行の無事を願い会津駒を後にする。

次なる山は前日脇を素通りしてきたお待ちかねの燧ケ岳だ。

目的地へ急ぐばかりで気疲れしても困るのでひとりだけどこんなことまでして遊ぶ。

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もちろん冷たい。この格好で5秒も寝転ぶのは罰ゲーム他ならない(笑)

尾瀬御池まではなだらかな道で気持ちよかった。

御池の小屋で食料と水を補給し、歩みを進める。この部分が一番ハードだったろうか。

急登を抜け、振り返るとこのように自分がさっきまでいた場所を一望できる。

ストックなど持ってなかったが指とつま先をさしながらザクザク進んだ。

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燧ケ岳は今回、絶対登りたかった山なので、どうやってルートをとろうか悩んだ。

至仏山へ登ったらそのまま北へ行って燧ケ岳へ繋げたかったが、植生保護のためそのルートはとれない。尾瀬沼から直接行こうにも時間帯が夜になってしまう。ここは明るい時間に上りたい。他にも検討したが、登山道の崩壊等の問題でこのルートになったのだが、結果的に良かったとは思う。

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大渋滞発生中の爼嵓からの柴安嵓。

土日ということもあり、至仏山同様、アクセスも良い大人気の燧ケ岳は人であふれかえっていた。

柴安嵓へは行かず、再び尾瀬沼へ下りていく。登山客にはやはりこのスタイルで登ることは好奇の目で見られる。今日はここからここまで行くんですよ。と言うと、頑張って「陽希さん!」(グレイトトラバースの。)なんて冗談交じりに言われることもしばしば。

尾瀬沼のヒュッテで再度、食料、水を補給しながら地図で行程を確かめる。

ここで残念な事実に直面してしまう。どう頑張っても時間内に日光までたどり着けない。気分悪くしてからも、その辺の時間の調整はして出発したはずなのだがどうしても無理なのだ。

後で終わってから気づくのだが、地図上とは別に計算し紙に書いた山行時間を見返すと、単純に計算違いをしていた...

旅は突然に幕を閉じてしまった。TGIF完遂ならず。

最後は大清水の先のバス停まで走りバスに乗って沼田駅まで戻り帰路に就いた。

 

TGIF未完。

TGIF (Tochigi Gumma It's Fukushima)

2015/07/12,13

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あのルートを繋げられたら...

また今年トライした比較的長いと思われる山行(世の中には日本アルプスを海から海まで縦断することもありますからね)の備忘録。

とにかく長いルート、即ち長い時間山にいることが、好きな自分なのだが関西にいたときは、だいたい一つの地図で全てが収まっていた。

(Ex.比良山脈、大峰山脈鈴鹿山脈、六甲山系 etc.)

結局どれも一発で起点から終点まで行ったことはなかったが、どうやら関西でこの長く山にいることの旨味を知ってしまったようだ。

長くいるというよりも長いルートを軽快なペースで駆け、色々な食材の旨味が凝縮されたスープのように、ギュッ!と短い時間で色々な景色、変化を楽しむことに魅力を感じた。

ただ、それには多少なりともリスクがあり自分の経験、判断が頼りとなる。

何を持っていくか、水はどこで補給するか、枯れてたらどうするか、エスケープは...とこの考える、計画、準備することも楽しさのうちに入っているし、思い描いたルートを完遂できるかどうかはこの山行を始める前の準備、今までの経験が半分くらいは鍵を握っていると言ってもいい。

 

話を元に戻すと、昨年、埼玉の実家へ戻る際に日光の山を登ろうと思い地図を手にし、ルートを目で追っていく。すると白根山から北は尾瀬へとつながっているではないか!

と知っている人にとっては当然のことだろうと思うのだが、まだ関西にいた頃の自分には衝撃的で2000m級の山を繋げられるのは『興奮』の一言でしかなかった。

日光と尾瀬の2枚の地図を壁に張ってひとりワクワク、にやにやしていた。

 

思い立ったが吉日、早速実家へ戻って決行するのだがこの時は計画と呼べるものはほぼなし。地図に書いてある参考タイムを全部足して、あとは自分の実際の進度と相談してと(今もさほど変わりはないのだがw)今よりはるかにずさんだった。

行ってしまえばどうにかなるだろうという気が強かった。

 

結局、東武日光駅から女峰山、男体山を登って終了してしまった。当初の予定では中禅寺湖から湯元温泉へ向かい、日光白根を登って北へ尾瀬へ...記録も記憶すらも残っていない。どこで寝ることだったのやら、どうやって帰るつもりだったのやら。

登山者としてはあるまじき行為、いや、登山者と呼ぶにはおこがましいほどに自分の体力だけに自信を持っていた馬鹿者であった。

 

そして、今年の7月。1年越しで狙っていたルートを駆ける時が来たのだ。

3月から足の故障で思うように走れない中、1週前のレースでもリタイアしていたのだが、1週間後のレースを見据え自分の体を診るということも含め決行に移る。

 

昨年と違い、スタートは水上からバスで湯の小屋温泉まで向かい至仏山、一度戻って鳩待峠、尾瀬沼を北へ抜け、桧枝岐村へと向かう。一度、一般道へと出てしまうが会津駒ケ岳を登り南下、燧ケ岳を通り再び尾瀬沼へ出てきたら東の鬼怒沼を目指し最後は日光白根山

とこれもまた滅茶苦茶なのだが、2日で濃厚なスープを味わいたかったわけだ。

ちなみに会津駒を新たに入れたのは届きそうな範囲であったし、山行の名前(そんなの要らんのだが)を考えてたらふとTGIF=Thanks God It's Friday、TGIF=Tochigi Gumma It's Fukushima!とひらめいてしまったので入らざるを得なくなったからだ(笑)

(尾瀬というと自分の中では群馬だった。福島の山も入れてTGIFだったので福島の山、会津駒を入れた。)

 

さあ前置きがかなり長くなったがどうなったことやら。

続く。

Shinetsu Five Mountain Peaks 続き。

Shinetsu Five Mountain Peaks - the longer the higher
  
高谷池周辺のちらほらと見られる紅葉に心踊らせつつも真っ暗にならないうちに妙高に取りつきたかった。
ヘッドライト、防寒着を装備し向かう。途中、反対方面からくる女性二人組と遭遇。
久しぶりに人に会えたー!と喜んでおられるご様子。ロープウェイを利用してのんびり妙高を楽しまれたようだ。
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そうこうしているうちに日は傾き、いよいよヘッドライトの出番が必要になってきた。
念のため水をまた補給しつつ、アルファ米にも水をいれる。
急な登りが続き、気付けばハンガーノック気味だった。焦る必要はなかった。
沈みゆく太陽がつくりだす夕日と闇のグラデーションを見ながらたっぷり食事を頂く。
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山頂に着いた。そして、満足感を得たのち来た道を下る。途中の笹ヶ峰分岐まではよかったが、ここからが長かった。
過去にも夜の行動があるとは言えど、ソロであるとどうしてもやる気が下がってしまう。
周りの景色なんぞなく、足下に注意をはらっていないと痛い目にあう。道がハッキリしているのは負担を和らげてくれたが、暗がりを一人は精神的にまいる。
傾斜が急で滑りやすい道は予定の時間を簡単にオーバーさせてくれた。
下りてきたら下りてきたでキャンプ場を抜ける道がわからない。ぐるぐるまわっていたらそれらしき方向にそれらしき道があったので、進んでみた。
すると、お馴染みの矢印看板が登場!信越五岳トレイルレースのものだ。レースはその翌々日。
ここから黒姫の登山口分岐までは道がレースのコースとかぶっている。
道を探すのに気を使わなくてもいいやと思ったのも束の間、乙見湖に出てきたらどっと疲れた。
きっとキャンプ場で人がいるのを見て安心感を得てしまったのだろう。
また眠気もまあま来ていたし、山から下りてきたのに寒かった。

乙見湖で小休憩したら暗闇を再度進んでいく。最低でも1時間は寝ようと思っていたところで、避難小屋に着いた。
入ると暖かく、誰もいない。ここで日が変わるくらいの時間だっただろうか。
地図を見返し、全行程は無理と判断。仮眠をとったら黒姫、下りて高妻へは向かわず戸隠で終わり。飯縄山も諦める。
そして眠りに落ちた...

起きたら空が薄く明るい。しまった!爆睡してしまった(笑)時計を見たらもう5時だ。
これではとても戸隠までは無理なので、黒姫山に登って帰ろう。
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悔しさもなくはなかったが、自分の能力、今回の状況にあった計画ではないことを受け入れ潔く切り替えた。
西登山口から登ったが大きめの岩の上を歩くような道だった。夜にあのまま突っ込んでいたら、心が折れていたことは容易に想像がつく。
しかし、いい雰囲気の道だったな。
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頂上に着くと黒姫を除く信越四岳(斑尾、妙高、戸隠、飯縄)を拝むことができた。
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一番楽しみにしていた戸隠山の切り立ったリッジは人を寄せ付けない雰囲気を漂わせている。
友との思い出の山、飯縄山はこの角度で見るのは初めてだったが、穏やかで懐の深さを感じる。
しばし、いろんなことを思いながら一人山頂での時間を楽しんだ。
そこからバスの時間に間に合うようにと下りて行ったわけだが、間に合わないと途中でわかった。
焦ったってまた仕方がないからと最後は予定もしていなかった爽快で走りやすいトレイルを楽しみ、黒姫駅に無事到着。
結局登れた山は頚城三山(焼山、火打、妙高)+黒姫で今回は終了。

信越五岳“未”完。

山行記録:参考地図 山と高原地図18 妙高・戸隠・雨飾

小谷温泉 8:10
雨飾山 10:30
金山 12:50
焼山 14:20
火打山 15:45
高谷池 16:50
妙高山(北峰) 18:30
夢見平避難小屋 23:00~0:00着 5:00過ぎ発
黒姫山 7:20
JR黒姫駅 ???