Team HOKAONEONE JAPAN

ちょっと走って息を上げるだけで、あの熱い闘いの記憶がフラッシュバックするのはきっと僕だけではないはずだ。

 

11月18日から20日にかけて香港で開催されたOxfam Trailwalker HongKongに参加してきた。香港4大トレイルのうち最長の距離を誇るMaclehoceTrailを主とした約100㎞のコースを4人1組でゴールまで走る(歩く。)

はじめの10㎞程はロードが続く。海を右手、ダムを左手に気持ちのよい風を受けながら後半のための体慣らしのつもりで走って行く。

LongKeを過ぎるとコンクリートで固められたトレイル、階段でアップダウン。また下りたら砂浜のビーチに出たりと日本ではないだろうコースを「これが香港トレイルかぁ。」と景色と共に楽しみながら行く。

 

特筆すべきは我らがAキャプテンがトレイル上に無数に落ちている牛のウン〇に小学生かっ!と言わんばかりに「ウン〇、ウン〇」と連呼していた(笑)

 

硬い足場を淡々と走り、自分たちのサポートクルーとのファーストコンタクトであるCP2(チェックポイント)へ到着。ここまで約25㎞だったが、もう来たのかという余裕が自分の中ではあった。しかし、それはメンタル的なことであって身体的にはじわりじわりと香港の”蒸し暑さ”から受けるダメージが後に出て来ることとなる。

 

サポートをしっかりと受け、足早にコースへ戻った。

トレイルコンディションはコンクリートでないにしても硬く、雨が降ればツルツルになるであろう完全に踏みならされたトレイル。コース上には他チームのサポートのために待つ人も多く、(トレイル上ならどこでもサポートが許されている。)彼、彼女らも頻りに「加油加油!」「ガンバって!」”Keep going”など声援を送ってくれる。
CP2以降からだっただろうか。後続のチームと順位が頻繁に入れ替わる。無論、僕らは順位は気にして走ってはいなかった。


今、レースを終え冷静に振り返ってみるとCP2からCP3の間でチーム1人1人に香港の洗礼を受けていた気がする。

今回の鍵は”暑さ”にどう向き合うかであったと思う。日本では季節が冬へ移り変わる頃で前日に入国した僕らは当然この暑さには適応できていなかった。日本で例えるならば梅雨の終わり頃だろうか。汗のかく量もえらい多く、摂取した水分はほぼ汗で出ていたであろう。

A木さんは後ろから来たランナーに道を譲ろうとした際、転んで両足を攣ってしまった。自分も登りの際に両内膝がいつ攣ってもおかしくない状況。Aキャプテンも前週の大会からの疲労が出ていたのかキツそうな場面も伺えた。
CP3で待っていたサポートのK田さんは水分と塩分をしかっり摂るように忠告をくれた。

がしかし、その時は来てしまう。CP3を過ぎ相変わらずのハードトレイルのアップダウンを繰り返すうち、S名さんが遅れをとってしまう。置いて行くということは選択肢にはなく、ちょっと先へ行きすぎたら待ち、その前にペースを落として進んだりもした。それでも香港の暑さは容赦なかった。S名さんの顔は紅潮し、特に登りのときは呼吸が荒くかなりキツそうだ。歩きでももう限界に達していた。

「もう無理やな。次のCPでドロップするわ。」

その言葉はチームメンバーの誰からも聞きたくはなかった。もちろん皆言いたくもなかったことは明白だ。このままいつ回復するのか、もしくはそもそもで回復するのかもわからないコンディションに賭けをすることはなく、チームのためを思っての早い決断。(ルール上3人であれば次のCPでリタイア者を残しそのまま進むことができる。)

 ドロップを決めた後でも少しでも早くCP4へ辿り着こうと時には先頭に出る姿は正に雄姿。自分の体の一部が持っていかれたような想いだったがその姿を目に焼き付けてゴールまで走ることを約束。預かった赤のリストバンドを携え、一人減ったチームは再び息を吹き返す。

 

続く。