-TSUNATORI(綱取り)- 森ノ山 奥秩父部屋 (土俵際 信州峠まで)
旅も半分終わったところでしょうか。終盤に差し掛かり、土俵際の闘いの末の勝者は?
(これまでの奥秩父縦走のエントリはこちら)
春の奥秩父縦走路 - the longer the higher
-TSUNATORI(綱取り)- 森ノ山 奥秩父部屋 (雲取山まで) - the longer the higher
-TSUNATORI(綱取り)- 森ノ山 奥秩父部屋 (はっけよぉい!雁峠まで) - the longer the higher
焦らずゆっくり
雁峠避難小屋には18時ごろ到着。とりあえずお腹も空いていたので腹を満たし、寝る準備に入ります。日没は19時頃で、飯を食べ終え荷物の整理を済ませ、3時間後にアラームをセット。19時過ぎには寝ていたと思います。
アラームの音で目覚めますが、全く外に出る気がしません...あと1時間、23時に再度起きるも、もうちょっと...と繰り返していたら目が覚めたのは15日の2時でした。あろうことか普通に7時間も寝てるじゃありませんか。過去にも避難小屋で仮眠のつもりが爆睡で、あとの予定がおじゃんになってしまったことがありました。
Shinetsu Five Mountain Peaks - the longer the higher
Shinetsu Five Mountain Peaks 続き。 - the longer the higher
こうなったのも自分のマネジメントの甘さ。時間を計算したら最終区間の信州峠~清里駅の夜間走は避けられませんが、2日以内には完走できそうです。気を取り直して雁峠を3時に出発しました。
まだ真っ暗な闇に包まれた森の中をライトの灯りを頼りに前へ。出発時は上下長袖で体を覆ってましたが、動き出すとすぐに元のノースリーブ、短パンで行けました。
(15日のファーストピーク。)
4時を過ぎると太陽が昇ってき始め昨晩の夕日に負けないくらい素敵な朝日が顔を出します。
(雁坂峠へ向かう途中。)
そして、雁坂峠に到着です。3年前は食料がもうなく、ここで道の駅へ下りてしまいました。今回は食料の半分以上は1日目で消費してますが、行けそうな気がします。
(参考には全くならないでしょうが、食料は何を食べていたのか別エントリで書きます。)
ここから甲武信ヶ武がまた未走区間ですが、問題なく行けるでしょう。
(富士山がうっすらと映ってます。)
(これで3度目の甲武信岳。甲州、武州、信州の境目にあるので頭文字をとって名付けられたとされる。)
優しい小屋の主人たち
雁坂峠から甲武信ヶ岳はアップダウンはあるものの初めてのトレイルと景色を楽しめました。山頂へ行く前に甲武信小屋に寄り休憩をとったのですが、とても雰囲気が良い山小屋で日を改めゆっくり来たいなと思うくらいです。
甲武信小屋ネット - kobusi.com
ご主人のとくさんは表で日を浴びながら、これから出発するご家族との会話を楽しまれていました。家族、(親、子)と隣のおじちゃんの見ていると思わず微笑んでしまう日常的な風景がそこにはありました。
コーラを一本注入し、「またゆっくり来ます。」と告げ小屋を後にします。
甲武信ヶ岳山頂を下ると国師ヶ岳までは僕がこの縦走路で最も好きなトレイルです。
フカフカのシングルトラック。両サイドは木々に囲まれ、木々の隙間から見える景色。道をふさぐ倒木。倒木の上にこれでもかと生える苔。幾年も時を重ね、時を越えてきたこの土地に足を踏み入れることは不思議な感覚で、前回もそうでしたけどこの区間を走ると時間という観念がふっとんでしまいそうに。
すっかり忘れていたのですが、奥秩父最高峰は北奥千丈岳(2,601m)。ここから進行方向を少し下り、左手に分岐があったはずなのですが、全く覚えておらずでもったいないことをしました。
大弛小屋に到着。こちらでは偶然にも作業するためだけに上がってきていたご主人とお会いできました。水が1補給100円で500円玉しかなかったので、両替してもらうと「水ってのはその人にとっての価値だからね。いちいち確認しないけど10円とかで済ませる人もいるよ。」と一言。500円入れておいてもよかったですね...それくらい山の上では水が貴重です。
ご主人もタバコで一服。「これも縁だからね。よかったらどうぞ。トレイルの人は食べ物あんま持たんでしょ。」と極細ポッキーを下さいました。
7時間も寝てしまったことにやや後悔をしていましたが、こんな出会いがなかったと思うとこれはこれで良かったんだと実感。小屋のある大弛峠は西に金峰山、東に国師ヶ岳と挟まれている上、車でここまで上がってこれる絶好のスポット。ただし、今の時期はまだ林道が開放しておらず、通るのは縦走する人くらいで実質開店休業中らしいです。
ここでも「またゆっくり来ます。」と別れを告げ金峰山へと向かいます。
3年前とほぼ同じ時間で
薄々気づいてはいたのですが、甲武信ヶ岳を出た時間と以降の通過時間が3年前とあまり変わりがなかったのです。3年前のことを思い出すと、帰りのバスの時間もあったためか急いでいた記憶しかありません。そのくせ、これから向かう金峰山の五丈岩に圧倒されゆっくりしてるとまた後ろの方に時間がおし、猛スピードで瑞牆山を駆けのぼった記憶があります。
今回は時間に余裕があるのと、1度通ったことがあるというだけで心にも余裕がありました。
(朝日峠)
(金峰山、五丈岩。)
(五丈岩の方を振り返ってもガスで覆われていましたが、金峰山荘の方は一瞬晴れ間を覗かせました。)
(一部のお仲間にしかわからないと思います。『ハト”岩”師匠!!!!?』)
(ガレ場を抜け、更に下るとこれまた珍しい巨岩。大日岩。)
そして瑞牆山への分岐、富士見平小屋に到着。3年前はここを15時くらいについて息を上げながら全力で登ったことを覚えています。今回の到着は14時と1時間しか変わりませんがまだ日も高い位置にあり焦る必要もありません。コーラをここでも1本注入。あとのことも考え400円コーラの2本目も購入しておきます。
(登山道は岩、岩、岩の連続。こういう遊び心が大切。)
山頂が見えると声をあげ”WOO HOO!!”と思わず叫んでしまいました。
晴れていれば今まで自分が歩んできた稜線を見渡せるのですが、ここでもガスは晴れませんでした。頂上には誰もいないと思ったら一人学生っぽい男の子が。せっかくなので写真を撮ってもらいました。これが道中唯一、人にとってもらった写真です。
いよいよ最後の難所、信州峠~清里駅。どうなることやら。
続く。